制定60周年
   
日本国憲法を考える

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第1章 憲法改正に向けたJCの取組み

  近年、国会においては憲法改正に向けての機運が高まりつつある中、社団法人日本青年会議所は、明るい豊かな社会」の実現に向けて、憲法問題を通して「日本の魂(こころ)」確立に向けた世論喚起・市民意識の高揚を目指すべくJC版憲法草案を2004年度から毎年進化をなして発表しています。運動に本格的に取り組み始めて今年で4年目を迎えております。

日本国憲法施行記念式典


憲法改正議論の背景


  現在の日本国憲法は、太平洋戦争敗戦後の日本を占領した連合国軍最高司令官総司令部(GHQ)によって作成されました。その憲法が制定されてから60年間が経過し、日本を取り巻く国内国際情勢は大きく変化してきているにも関わらず、制定以来一度も改正が行われていません。日本国憲法の規定は安全保障、国民の権利・義務、統治機構など様々な面で影響はないのでしょうか。民主主義のよりよい実現のためのシステムや社会の実状にそって憲法の各所を改める必要性があるのか考えていきたいと思います。


谷内 篤子

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第2章 憲法改正の論点

『平和主義』
  日本国憲法の三原則と言われる「国民主権」「平和主義」「基本的人権の尊重」。憲法改正論議において最大の論点の一つとなっているものは「平和主義」ではないでしょうか。東西冷戦という時代背景の中、アメリカの再軍備要求を受け入れて誕生した「自衛隊」。その自衛隊の存在が日本国憲法第九条「戦力不保持」との矛盾を生み、過去に様々な議論が行われながらもそのまま現在に至っています。いわゆる「解釈改憲」の一例です。

  悲しくも近年、戦略的行為や戦闘的行為が世界各所で発生し、多くの人々が辛い想いを強いられています。日本においても、とりわけ隣国である北朝鮮の核武装やミサイル実験に代表されるように、決して遠く離れたところにある問題ではなく、現在身近におきている問題です。かつて戦力不保持の国際連盟が時代の流れの中で戦力保持の国際連合となったように、わが国においても、敗戦国という時代背景の中で生まれた「戦力不保持」から「戦力保持」の案も出てきております。また、国民投票法が可決され、憲法改正の機運が世間において再び高まりつつある今、「明るい豊かな社会の実現」を目指す我々も「解釈改憲」ではなく「改憲」へ向けて真摯に考えなければならない時が到来しているのかもしれません。県民のみなさまはどのようにお考えでしょうか


丸田 尚史

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第3章 日本国と他国の憲法について

  憲法とは国の基本法ですのでどの国にも存在しまが、もちろん各国によってさまざまです。例えば、日本や他の大半の諸外国がそうですがキッチリ文章化された成文憲法”を持つ国もあれば、イギリスやニュージーランド・イスラエルといった従来の慣習や判例をもととしていてキッチリ文章化されていない“不成文憲法”という形態をとっている国もあります。また、最近の国民投票法案などを見ていて分かるように日本の憲法は法律を変えるように簡単にはいきません。多くの国は日本のように改正手続きが比較的難しい“硬性憲法”ですが、スイスやインドのように改正手続きが比較的簡単な“軟性憲法”といわれるものもあります。

  日本と他国の憲法の内容の違いなどを追っていくと非常に長くなりますので、今回はいくつかの国の憲法の“前文”を紹介したいと思います。


まずは我らが日本国憲法から。
「日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、われらとわれらの子孫のために、諸国民との協和による成果と、わが国全土にわたって自由のもたらす恵沢を確保し、政府の行為によって再び戦争の惨禍が起ることのないようにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであって、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。これは人類普遍の原理であり、この憲法は、かかる原理に基くものである。われらは、これに反する一切の憲法、法令及び詔勅を排除する。
日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであって、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めている国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思う。われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免れ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。
われらは、いずれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであって、政治道徳の法則は、普遍的なものであり、この法則に従うことは、自国の主権を維持し、他国と対等関係に立とうとする各国の責務であると信ずる。
日本国民は、国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓う。

  日本国憲法は“国民主権”“基本的人権の尊重”“平和主義”の3大原則からなっていますがそのうち“国民主権”“平和主義”については前文にはっきり明記されています。

続いてアメリカ合衆国憲法。
「われら合衆国の人民は、より完全な連邦を形成し、正義を樹立し、国内の平穏を保障し、共同の防衛に備え、一般の福祉を増進し、われらとわれらの子孫のうえに自由のもたらす恵沢を確保する目的をもって、アメリカ合衆国のために、この憲法を制定する。」
  憲法は何よりも個人の自由を確保するためにあると明言しています。


次はフランス共和国憲法。
「フランス人民は、1946年憲法前文で確認され補充された1798年宣言によって定められたような、人権及び国民主権の原理に対する愛着を厳粛に宣言する。
共和国は、これらの原理と諸人民の自由な決定の原理に基づき、共和国に加わる意思を表明する海外領土に対して、自由、平等、博愛という共通の理想に立脚し、かつ、その民主的発展を目的として構想された新たな諸制度を提供する」

  この前文も明確に自由を謳っていますが、平等・博愛も謳っています


スイス連邦の憲法前文。
「全能の神の名において!スイス国民とカントンは、創造物に対する責任において、自由及び民主主義と、世界に対する連帯と公開の中での独立及び平和とを強化するために連邦を常に革新する努力において、統一の中の多様性を相互に顧慮し、またそれに留意しつつ生きることの意志において、将来世代に対する共同の成果と責任との自覚において、自己の自由を眠らせることなく行使する人だけが自由であること、及び、国民の強さは弱者の福祉を尺度として評価されることを確信しつつ、以下の憲法を制定する。」
  強く団結を謳っていることが読み取れると思いますが、ドイツの憲法前文も同じように団結を呼びかけています。


最後に中国の憲法前文。
「中国は、世界で最も古い歴史を持つ国家の一つである。中国の各民族は、輝かしい文化を共同で作り上げており、栄ある革命的伝統を持っている。/1840年以降、封建的な中国は次第に半植民地・半封建的な国家に変化した。中国人民は、国家の独立、民族の解放ならびに民主と自由のために、戦友の屍を乗り越えて突き進む勇敢な戦いを続けてきた。/20世紀にはいって、中国には転地を覆すような偉大な歴史的変革が起こった。/1911年、・・・・・」
  省略してしまいましたが、中国の憲法前文はこのあと400時詰原稿用紙6枚分以上続くという世界一長い前文です。社会主義国の憲法前文は概して長く、その建国の正当性を強調しているのが特徴といえます。また、北朝鮮は“金日成”・ベトナムは“ホーチミン”と建国の父と呼ばれる人物を前面に押し出した個人崇拝的前文となっています。



  いくつかの国の前文を紹介してきましたが、一見してお分かりなるかもしれませんが日本国憲法の前文もわりと長文の部類に入ります。前文とは憲法の理念の宣言ともいえますがなんら拘束力はありません。それゆえか、前文がない国もあり、スウェーデンやデンマーク・ベルギーなどは、いきなり条文から始まっています。JCの憲法草案、自民党の新憲法草案などを見ても前文はそこそこの長さのあるものが提示されています。ややもすれば、前文は草案作成者の意見・思いのはけ口になってしまうかもしれないなというのが率直な私の感想ですが、たくさん論点とされている条文のほかにも前文という視点も無視できないことではないでしょうか。



日本 憲法前文の一部(英語原文) アメリカ 憲法前文の一部


立野 政幸

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第4章 解釈改憲について

  憲法改正に向けた意識の高揚運動のコーナーも早くも4回目で後半に入ってきました。
  今回は解釈改憲についてご紹介させて頂きたいと思います。

解釈改憲とは憲法の条文を正規の手続きに従って変える明文改憲に対し、解釈を通じて条文の意味を変えることです。ようは憲法を解釈によって実質的に改憲に近い効果を挙げようとする考えです。話題になっている例を挙げて言えば、憲法第九条を変えることなしに、解釈の仕方によって「防衛力」を増強し、集団的自衛権を行使しようとしているやり方です。

集団的自衛権は国連憲章でも認められており、他国も有している権利です。ただ現在の日本国憲法では個別的自衛権は容認されている感がありますが、集団的自衛権となると無理がある、憲法違反であるという意見が増えてきます。結局明文化されていないことを解釈によって決定しようとするのは難しいのではないでしょうか。解釈というのは人によって違いますから、現在の憲法の条項に対して合憲か否か、という結論を解釈で導き出すこと自体が間違っているのではないでしょうか。

集団自衛権が必要かどうかはここではいえませんが、解釈改憲という人によってとらえ方が違う曖昧なやり方ではなく正規の順序を踏んだ憲法改正を行って、今まで記述のなかったところ、曖昧なところは新たに明文化し、制定から60年以上もたって現在の時代にそぐわない箇所は変えていくというやり方はごく自然なやり方だと思います。




中村 義之

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第5章 憲法改正の手続きについて

■前文
★憲法とは、国の最高法規

今回は、憲法の改正について話を進めさせていただきます。
その前に、憲法とは、国家の統治権・統治作用に関する根本原則を定める基礎法であり、憲法の第九十八条で国の最高法規として定められています。

第九十八条
この憲法は、国の最高法規であって、その条規に反する法律、命令、詔勅及び国務に関するその他の行為の全部又は一部は、その効力を有しない。

つまり、他の法律や命令で変更することのできない国の最高法規であるため、憲法改正に至るまでには様々な手続きが必要になります。


★日本の憲法改正の歴史について
制定以来、現在まで日本国憲法は一度も改正されたことがありません。改正のために必要な手続を定める法律も、2007年に「日本国憲法の改正手続に関する法律」が制定され2010年から施行されます。
「日本国憲法の改正手続に関する法律」の内容につきましては、法律として施行までの手続きが行われていますので、省かせていただきます。

他国の改正については、アメリカは18回、27か条を修正・追補しています。
日本の憲法と同様に第二次世界大戦後に新たに憲法を制定したドイツは、東西ドイツ統一も含めて51回の憲法改正を、イタリアは14回の改正を行っています。
この他、改正が多い国では、メキシコで02年までに408回改正や、スイスで過去140回以上にもわたる改正を行っています。

改正の回数については、各国のシステムや近隣諸国との兼ね合いもあるので、一概に是非を問うことは難しいですが、日本のように長年にわたり憲法改正を行っていないのは世界でも珍しく、日本より古く成立した成文憲法がある国家で無改正のものは存在しません。
日本は、「日本国憲法の改正手続に関する法律」が制定されるまで、憲法改正について法律の整備も行っていませんでした。従って、日本国憲法が世界で最長に改正されていない憲法となっているのが現状です。


■憲法改正を行うために考えられること

現在の憲法改正の手順は、第九十六条に記載されています。

第九十六条
この憲法の改正は、各議員の総議員の三分の二以上の賛成で、国会がこれを発議し、国民に提案してその承認を経なければならない。この承認には、特別の国民投票又は国会の定める選挙の際に行はれる投票において、その過半数の賛成を必要とする。
二項
憲法改正について選考の承認を経たときは、天皇は、国民の名で、この憲法と一体を成すものとして、直ちにこれを公布する。

箇条書きにすると以下の通りです。

●国会の発議
 1.衆議院及び参議院の総議員数の三部の二以上の賛成が必要。
 2.国会が発議し、国民に提案してその承認が必要。

●国民の承認
 3.国民の承認には、特別の国民投票又は国会の定める選挙の際に行はれる投票において、その過半数の賛成が必要。
●天皇の公布
 4.国民投票で可決された場合、改正された憲法は天皇がこれを国民の名において交付する。


■石倉の視点!

現在の第九章「改正」の手続きだけでは、解釈によって様々な問題が上がっています。
これらの問題を手続きの上で明確にされているものが、「日本国憲法の改正手続に関する法律」に盛り込まれています。今回は、第九章「改正」についての調査報告ですので、法律の内容につきましては、省かせていただきました。
お復習いとして日本の統治機構を別表に記載させていただきます。
おそらく中学生の頃に社会の授業で習っていることで今更と思いますが、日本の統治機構を改めて拝見すると、国民が主権者であり、国民一人一人の意志が、日本という国を成り立たせているんだと考えることが出来ました。
日本の統治機構
日本国憲法
天皇
立  法 行  政 司  法
国会 内閣 裁判所
・衆議院     ・内閣総理大臣 ・日本の裁判所
・参議院 ・国務大臣 ・最高裁判所
・行政機関 ・下級裁判所
地方自治
地方公共団体
・地方議会 ・首長
国民(主権者)
・日本の選挙 ・日本の政党
今後は、政党間の政権争いに利用されることなく、日本という国の未来を真剣に考えた憲法改正案と、国民投票にて最後に審判を下す国民に向けた啓蒙活動が重要になってくると考えています。


今回の憲法改正について調べていく中で、現在の日本国憲法が作成された過程について触れることが出来ました。
下記にURLを記載させていただきますので、興味のある方は、ご一読されてみては如何でしょうか。

★国立国会図書館  『日本国憲法の誕生』
【概説】
はじめに
日本国憲法の制定には、国の外からと内からの双方の力が働いている。
外からの力とは、日本の敗戦により、「ポツダム宣言」を実施するために必要な措置をとる連合国最高司令官のもとで、大日本帝国憲法(明治憲法)の変革が求められるようになったことである。・・・・・・・・・・・・。

つづきは、こちらで。
http://www.ndl.go.jp/constitution/gaisetsu/00gaisetsu.html


石倉 通雄

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第6章 まとめ

  「憲法改正に向けた意識の高揚運動」と題しまして、これまで憲法に関わる多くの事項の中から代表的に考えられる事項についてご紹介させていただきました。
  このコーナーで日本国憲法について少しでも知識をお持ちいただくことができましたら幸いであります。

  ■第1章 憲法改正に向けたJCの取り組み 憲法改正議論の背景
  ■第2章 憲法改正の論点
  ■第3章 日本国と他国の憲法
  ■第4章 解釈改憲
  ■第5章 憲法改正の手続き

  先日、富山大学で憲法学を教えておられる山崎友也准教授にお会いしてきました。
憲法に関わる本が所狭しと並んでいる研究室で、日本国憲法についていろいろなお話をいただくことができました。その中で・・
「憲法は、日本の社会の方向性を示す大枠のもの。全ての決定は法律や条令が決めている。これまで60年間憲法が改正されなかったのは、ある意味、この日本が平和であった証拠ですよ。」とおっしゃっておられました。



日本国憲法下の統治機構図


  最近は、日本国憲法に改正すべき点があるとする政治家が増える一方で、改正反対をとなえる市民団体・反戦団体の動きも活発化していることをTVや新聞で目にします。かつては日本の世論調査において日本国憲法を改正すべきとする意見は少数であることが多かったのですが、近年は改正すべきとする意見が過半数を占めています。なお、平和主義の堅持など、一定の条件を満たすことを前提に改正を容認している人も見受けられます。

  日本国憲法施行60周年の今年、改憲手続法が成立しました。「改憲」へまた一歩進んだことになります。改憲、護憲、みなさんは、どのようにお考えになりますか。いずれの意見を持つにせよ、私たちはどうあるべきなのか、社会においてどうすればよいのか、国民自らが責任を持って憲法を作り上げることができれば、秩序と理念を共有して積極的な生活をおくることができるのではないでしょうか。




谷内 篤子

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Oasis
2007

 制定60周年 日本国憲法を考える
 発  行/社団法人日本青年会議所富山ブロック協議会 情報ネットワーク委員会
 委員会メンバー
 副会長 八嶋 大道(小矢部JC)/委員長 谷内 篤子(氷見JC)/副委員長 澤武 亮(氷見JC)
 副委員長 樋口 裕祐(高岡JC)/幹事 三国 博之(氷見JC)/委員 河上 素子(富山JC)
 委員 大矢 希(高岡JC)/委員 立野 政幸(高岡JC)/委員 中村 義之(となみJC)
 委員 青山 洋士(新川JC)/委員 駒崎 充彦(氷見JC)/委員 石尾 昌也(小矢部JC)
 委員 石倉 通雄(滑川JC)/委員 丸田 尚史(黒部JC)/委員 黒崎 秀樹(射水JC)